おれんじ姫の物語【第一話】

■□オレンジ姫の物語 その1□■

おれんじ姫の物語【第一話】

きらきら光るサファイアブルーの海。
その岸壁に立つオレンジ城は、いつ頃からあるのか誰もその由来を知りません。
まだ小さななオレンジ姫にとって、そこはまるで迷路のようです。
急な階段をクルクル登って、お城の塔から顔を出せば、彼方まで広がる海と緑の森。
海や森と、空の境界線の向こうには何があるのだろう???
オレンジ姫にとって世界はあまりにも大きすぎて、ワクワクしてきます。

反対側の窓から下を見下ろすと場内の広場がみえます。
高い塔に阻まれて、午前中はお日さまが当たらないため
いつもは人がいないのですが、今日は違います。

城内ではみんなの動きが慌しくなってきているようです。
年に一度のお祭りが近づいているからでしょうか?

その中でひときわ目立つのは、お洒落でおすましのお姉さま、猫のペパ-ミントと、
ちょっと男っぽいけれど、スマートで働き者の狐のジンジャー。
この釣り合いの取れたコンビは周りの憧れの的です。

広いお城の中、退屈でたまらないオレンジ姫。

広場にでてウロウロしていると、壁の後ろ側から”ひそひそ話”が聞こえてきました。

それは衣装係のペパーミントとジンジャー。

今度開かれる宮廷ダンスパーティーの打ち合わせのようでしたが・・・。

スィートでエレガントな身のこなし、ちょっと意地悪だけどなぜな憎めない
シャム猫のペパーミント。

いつもテキパキと動く働き者、歯に衣着せぬ言葉が鼻につくけど、
いつもみんなの事を考えている心優しい狐のジンジャー。
彼女たちのスタイリストとしてのアイデアの源は、どうやらお城の外の
別のところにあるようです。

・・・え?・・・なになに?

明日、みんなに内緒でお城の外で出かけるって??

どこへ行くの?

どうやら二人だけで秘密にしている場所があるようです。
まだ誰も知らない秘密の場所。
オレンジ姫はワクワクしてきました。

退屈なお城から抜け出せる!

オレンジ姫は、コッソリあとをついて行こうと考えました。

それからしばらく時間が経って・・・。

闇夜にまぎれて秘密の出口からお城をスルリと抜け出したペパーミントとジンジャー。
二人はお城の裏の森の中へ入ってゆきます。
その後をチョコチョコと追いかけるオレンジ姫。

しばらく歩くと、ペパーミントの持つランプの先に馬車が照らし出されました。

「遅くなってしまう、早速出かけよう」
二人が馬の準備をしている隙に、オレンジ姫はこっそり馬車の中にもぐりこみました。

ジンジャーが馬車の中に入ってきましたが、
荷物の陰に隠れたオレンジ姫には気付きませんでした。

「それじゃぁ行くよ」外でペパーミントの声がすると、馬車は静かに出発しました。

どれくらい走ったのでしょうか、オレンジ姫が目覚めたとき、
馬車はいつのまにか止っていて、ジンジャーの姿もありませんでした。

馬車の中で眠ってしまったオレンジ姫は、そーっと外の様子を窺いました。

着いた先はペパーミントとジンジャーの生まれ故郷、ジュークボルドーの森。
もちろん、オレンジ姫には初めての場所です。
この森には、魔法の国への入口があるといわれています。

サラサラサラサラ・・・澄んだ小川のせせらぎが聞こえてきます。
ギーキコン、ギーキコン、水車の回る音がしてきます。

窓の隙間から外を見ると、ペパーミントとジンジャーが
ランプを手に小道を歩いて行くのが見えます。

オレンジ姫は馬車の扉を静かに開けて、気付かれないように二人の後を
チョコチョコついて行きました。

さてさて!★★オレンジ姫の物語★★今ちっちゃなオレンジ姫のちいさなボウケン・・その行方は・・?

つづく

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おれんじ姫の物語第2話>>

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